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『恐妻家クエスト ゴブリン討伐(5)』


□ ゴブリン討伐(5)

やっぱりすごい、私のエディ。

剣ひとつで弓を叩き落しながら、弓ゴブリンに向かっていく。
『突撃』をかけた時のエディは意識がないらしく、ただひたすら攻撃してくるもの全てに対して"襲い掛かる"。
傷を受けても怯まないことから、痛覚も麻痺しているみたい。

ゴブリンたちは、大人が5人並べばいっぱいになる洞窟の入り口に、すでに数十匹ほどギューギュー詰めになってた。
思ったより多い・・・。きもちわるい・・・。
集団の先頭にいた弓ゴブリン2匹を、横一線を剣で描き首を真っ二つにした後、ギューギュ詰めになっているところへ飛び込んだ。
前にエディから聞いたことがあるけど、多人数と戦う時はその中に突っ込んだほうがいいんだって。
自分で倒しながら、同士討ちも狙うって言ってた。でもそれってきっとエディじゃないとできないんだろうなぁ。

すごい勢いで剣を振り回し、気が付けば入り口付近のゴブリンを殲滅していた。
で、そのまま奥に走って言っちゃった・・・。『突撃』をかけると考えられなくなるから、その辺が不便ねぇ。

「すごいな・・あの人・・・。」と、ギュモリのおじさん。当然よ。ワタシの教育あっての賜物よ。

エディが倒したゴブリンたちから異臭が漂ってきた・・・。すごいくさい。
見ると、死体がボロボロに崩れだしている。中からバッタやらトカゲなんかの昆虫・小動物が1体につきひとつ出てきた。
たぶんコレは、暗黒魔法で生み出されたモンスターだと思う。バッタとかは、おそらく命を吹き込むためのものかしら?
つまり"コレ"から考えられることは、去年の"神の国"アスガルド帝国侵攻で生み出された生物兵器の生き残りが洞窟に巣くっていた、
または、暗黒魔法を操る魔法使いが洞窟で悪いことを企んでいるか、のどっちかね。
あら、後者だとエディまずいわねぇ。今は魔法も使えないし、暗黒魔法とまともになんか戦えないわ。
でも、この中に入るのはちょっとやだなぁ。

「あの人、ひとりで大丈夫なんですか?」自警団のひとりがギュモリおじさんに聞いた。
話し合いの結果、結局みんなでしばらく待つことになった。
なんかみんなチラチラコッチを見てたけど、そんなにワタシが魅力的なのかしら?

みんなちょっと暗い。もっと明るく行こうよ人生を。
エディはまだでてこない。
うーん、と。どうしようかな・・・。とりあえず、人間観察でもしようかしら?
ギュモリのおじさんは、ずんぐりむっくりの横に大きいひと。毛むくじゃら。でもよくよく見ると愛嬌のある格好してるかも?
クマのおにんぎょうさんみたい。

自警団のひとたちは、大体30歳くらいから60歳ぐらいまで幅広いわね。
そうだな〜、この中だったらギュモリの後ろにいる40歳くらいの男性がいいかな?
エディにはない男の渋さが哀愁を漂わしてステキな香りがする。いや、嗅いだわけじゃないけど。
あとは、そうだな。。。

「あの、もうそろそろ1時間になるんですけど。」
若そうな男性が話しかけてきた。もしかしてナンパ?あらやだどうしよう。でもワタシはエディ一筋だし、やっぱりその・・・
「心配だ。オレが見てこよう。」とギュモリのおじさん。意外に心配性?
「大丈夫ですよ〜、アレくらいの強さなら心配ないと思います。ただ数が多いんじゃないでしょうか?」
うん。たぶんそう。暗黒魔法で生み出された生物が、なんらかの方法で繁殖し、この森の動植物だけではエサが足りなくて、
村にまで押しかけたってとこじゃないかしら?
魔法使いでもいない限り、エディが負けることなんてありえない。

「それにしても、だ。」とギュモリ。「さすがに遅くないか?」
たしかに。なにをモタモタやっているのかしら。
刹那、洞窟から何かが飛び出してきて木にぶつかって落ちた。なにかしら?
飛び出してきた何かは、起き上がり、また洞窟に走っていった。
・・・あれは、エディ・・・?
思い返す暇もないまま、また飛び出して木にぶつかった。左腕の上腕部分が抉り取られ、血が大量に流れ出てる・・・危険だ。

『命令解除』!ワタシは叫んだ。
ガクンと膝から倒れるエディ。意識が戻った途端、痛覚が戻ってきたようで、ううっと呻き声をあげている。

「なんだ?!なにがいるんだ!??」と叫びながらも、エディの前に立ち塞がるギュモリのおじさん。
楯になるつもりらしい。
エディの傷はひどい。左足は折れ、左手の指はぐちゃぐちゃに潰れ、左上腕の傷は直視することができないぐらいひどい。

ワタシはすぐ回復魔法の詠唱を始めた。
まず、足を動かせるようにして、すぐにこの場を離れないと。なにかまずいものが近づいているのがわかる。

『傷を癒せ!』魔法発動。手のひらから暖かい、丸い光がゆっくり出現した。
エディの左足を光が包み込んだ。エディはとっても辛そう。歯を食いしばって脂汗をダラダラと流している。

エディがゆっくりクチを開いた。
「逃げて・・・逃げてください・・。ギュモリさん、危険だ・・・。」
「ああ、解かってる。いま、ちょうど危険なのがでてきたから。」

洞窟の淵が中から削られて、大きな石の塊となって外にいくつも飛び出してきた。
中から緑色の大きな足が、ゴブリンの死体を踏み潰し、現れた。
ゴブリンを10倍くらい大きくした化け物だ。足の次は手、そして中から覗き込むようにして頭が姿を見せていた。
すぐに引っ込んだかと思うと、さっきよりすごい勢いで洞窟が崩れだした。岩が崩れ入り口が崩壊し、砂煙が舞った。
瓦礫を書き分けて緑色の大きな化け物が現れた。アレは・・・恐らくトロール。

ワタシは詠唱を続けながら、横目でその姿を見ていた。
トロールはクチから涎を垂らしていた。




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